現在価値の考え方ー現在の100万円と将来の100万円は違う!

経理実務
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割引現在価値の考え方は企業価値評価におけるDCF法はもちろん、収支タイミングを考慮する必要がある評価技法や、経済学・ファイナンスの分野等様々な場所で出てきます。

本記事では基本となる「割引現在価値」について深く見ていきましょう!

1.「今」と「1年後」の100万円

突然ですが「今」100万円手に入れるのと、「1年後」に100万円手に入れるのと、どちらが良いでしょうか。

多くの方が「今」手に入れる方が嬉しいと感じるはずです。嬉しい理由は様々だと思いますが、「今」手に入れた現金の方が「1年後」に手に入れるよりも価値が高いということですね。

 

これを投資の観点から見てみましょう。

「今」100万円手に入れて、銀行預金に預けたとします。預金利息が3%だとすると、1年間に3万円の利息が手に入ります。「今」の100万円は、「1年後」には103万円になります。

「今」の100万円=「1年後」の103万円

逆に考えると、1年後に手に入れる100万円は、今の価値にするといくらでしょうか。100万円÷(1+0.03)=約97.09万円となります。

「今」97.09万円を手に入れて銀行預金に預けると、1年後には100万円になります。

「今」の97.09万円=「1年後」の100万円

 

このように、貨幣には「時間価値」の概念があります先に現金を手に入れた方が、運用によって増やすことができる分価値が高いという概念です。何年にもわたって現金を産み出す会社の1時点の価値を考える際は、このように時間価値を考慮することが大切な要素となるのです。

まいる
1年後の100万円は今の価値で97.09万円になってしまうので、1年後に100万円もらうより今100万円もらった方が良いということですね!

2.現在価値の計算式

現在価値の計算式は以下のようにあらわすことができます。

現在価値 = 将来受け取る金額 ÷(1 + 利率)^n年後
まいる
式を見てもよく分かりません。。
先生
一見とっつきにくい式だけど、実は難しくないんだ。さっきの例を使って、かみ砕いて見ていこう!

今の100万円は、1年後の103万円と同じ価値になっていました。1年後の金額は単純に×(1+利率)でしたね。1年前に戻す場合は、÷(1+利率)とすれば良いはずです。

 

 

では、2年後、3年後になったらどうでしょうか。1年後の103万円に更に×(1+利率)をしていきます。そのため2年後であれば現在の100万円に、(1+利率)を2回乗じる形になります。

まいる
2年後を考えるときは2乗すれば良いのですね!
先生
2年後から現在を考えるときは、同じく2乗したものを割ればいいだけなんだ。

この2年後を「n年後」として割り算の形にすると、現在価値の数式となります。

3.事例で考える現在価値

 

・1年後~3年後まで毎年100万円ずつ受け取る

・利率3%

 

このような案件の現在価値を計算しましょう。各年度毎の現在価値は次の通りです。

1年後:100万円÷1.03=97.0874…

2年後:100万円÷(1.03)^2=94.2596…

3年後:100万円÷(1.03)^3=91.5142…

これらを合計すると、282.8611…となるので、四捨五入すると283万円となります。

 

まいる
3年間にわたって100万円を手に入れる場合の現在価値は283万円ということですね!

Column:現在価値を求める際の割引率

現在価値を求める際に最も重要となるのは割引率です。何で割り引くかによって現在価値が全く異なる結果となるためです。

例えば銀行に預けて将来100万円を引き出すとしたら、銀行の預金利率を使います。同様に社債に投資して将来100万円返ってくる場合は、社債の利息を使うことになります。

このように、投資に対して求めることになる期待運用収益率で割り引くことが一般的です。リスクの低い投資(銀行預金等)であれば、期待運用収益率が低いため、利率も低くなります。一方、リスクの高い投資(株式等)であれば、期待運用収益率が高く、割り引く利率も高いものとなりますね。

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