減価償却費②:定額法の仕訳

簿記3級
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まいる
減価償却費をなぜ計上するかはなんとなく分かったよ。次は実際の仕訳に挑戦だね!

1.減価償却費の計算要素

簿記3級では「定額法」という減価償却の計上方法が出題されます。定額法はその名の通り毎期定額で資産の価値を減少させていく方法です。定額法に必要な項目はたったの3つです!

①取得原価
買った値段です。実際の購入価格に、付随費用(固定資産を購入した際の手数料等)を含みます。

②耐用年数
資産を使う年数です。

③残存価額
耐用年数が経過した後に、売却できる価格です。

例えば車を1,000円で購入します。その後5年後に古くなったので新しい車に買い替えようと、今の車を100円で売却します。
この時は取得原価:1,000円、耐用年数5年、残存価格100円です。

2.減価償却費の計上

当期首に購入した車両について間接法で減価償却を行う。減価償却の方法は定額法(取得原価10,000円、耐用年数5年、残存価格は取得原価の10%)である。

<解答>

左側(借方)
金額
右側(貸方)
金額
減価償却費
1,800
減価償却累計額
1,800

■左側
減価償却費という費用を計上するので、左側に「減価償却費」を書きます。

■右側
「資産のマイナス」を「減価償却累計額」という勘定科目で表現するため、右側に「減価償却累計額」を書きます。
(なお、直接法であれば「車両」と書きます。)

■金額
まずは、先ほどの3要素を見つけましょう。
①取得原価:10,000円で車両を購入しました。
②耐用年数:5年間使います。
③残存価額:10,000円の10%なので、10,000×0.1=1,000円です。

10,000円で買ったものが5年後に1,000円となるように5年間で均等に費用にしていきましょう。
取得原価10,000円-残存価額1,000円=9,000円が、5年間かけて費用にすべき金額ですね。
5年間で均等償却をするので、9,000円÷5年=1,800円が、1年間で償却すべき金額です。

これを式に表すと、こう書くことができます。

ただ、1回1回式を細かく書いていると試験は終わりません。今回は「残存価格は取得原価の10%」なのですから、裏を返せば「取得原価の90%は減価償却をする金額」といえます。
そのため10,000×0.9が、減価償却を行う金額です。あとは何年で減価償却をしていくかなので

と、簡単な式で表現できますね。このように書いて、本番はスムーズに解いていきましょう。
(なお、残存価額0円の場合は、取得原価の100%全て減価償却をする金額と捉えて解いていきます。)

3.減価償却資産の売却

3年前に購入した車両を5,000円で売却し、代金は現金で受け取った。減価償却の方法は定額法(取得原価10,000円、耐用年数5年、残存価格は取得原価の10%)である。

では、減価償却を行っていた資産を売却するとどうなるのでしょうか。先ほどと全く同じ車両を、3年後に5,000円で売却しました。減価償却費は1年間で1,800円でしたから、3年間で1,800円×3年=5,400円分減価償却が行われています。つまり、会計上の資産価値は10,000円-5,400円=4,600円です。
幸運にもこの車両は、会計上の資産価値4,600円より高い5,000円で売却することができました。つまり、400円の利益になっていますね。

では、この状況を仕訳で表現してみましょう。

<解答>

左側(借方)
金額
右側(貸方)
金額
現金
5,000
車両
10,000
減価償却累計額
5,400
固定資産売却益
400

■現金の受取
車両を売却して5,000円の現金を受け取るため、現金という資産の増加を左側に書きます。

■車両の売却
車両を売却する前の貸借対照表は、左側に車両があり、右側に減価償却累計額がある状態です。

今回は車両を売却するため、資産である車両10,000円の減少なので、右側に車両を書きます。
一方、これまでも車両の減価償却によって車両の価値は減っていましたね。これを「減価償却累計額」という資産のマイナスで表現していました。車両の売却によって「減価償却累計額」も同時に消してあげる必要があります。売却前に右側に計上していた「減価償却累計額」を左側に計上することで、車両と共に減価償却累計額も同時に消すことができます。

■もうけの計上
会計上の資産価値4,600円より高い5,000円で売却することができ、400円の収益となりました。「収益」の「増加」のため「固定資産売却益」という収益を右側に書きましょう。

まいる
売却によって「もうけ」が出たら「固定資産売却益」を使うんだね!もし「損失」が出たら「固定資産売却損」って勘定科目を使うみたいだよ!
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