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1.公認会計士・税理士の仕事内容は?
まずは公認会計士・税理士の仕事内容を見てみましょう。
1.1 公認会計士:会計監査
公認会計士の独占業務は「会計監査」です。医者だけが医療行為ができ、弁護士だけが法廷で弁護ができるように、公認会計士だけが会計監査ができるのです。
公認会計士法の一番最初に、公認会計士の使命が記載されています。
公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。
例えばA社という将来有望な企業があり、A社に投資したい人がいます。投資の方法は株式出資や貸付等様々な手段がありますが、そもそもA社が本当に優良な会社かが分かりません。
投資家は自分のお金で投資を行うわけですから、どんな会社かを把握したいのです。
A社が作った財務諸表は、投資家からお金を集めるために良く見えるように作られてるかもしれない、、と投資家は考えます。
結果、A社のことが分からず自分のお金が戻ってくるのか不安になった投資家は、出資をしないことにしてしまいました。
A社は資金を手に入れることができず、事業を発展させることが叶いません。
そこで公認会計士が、独立の立場からA社の財務諸表を監査し、「大きく間違ってないですよ!」とお墨付きを出すのです。
投資家は独立の第三者であり、会計・監査のプロである公認会計士が間違っていないと言っているのだから大丈夫!と安心し、投資ができるようになります。
A社も資金を手に入れることができるため、より発展するよう事業を進めることができます。
お金を出したい投資家と、お金が必要な会社を繋ぎ、健全な経済活動を支援することが、公認会計士の主な役割です。
監査は資本金5億円以上または負債200億円以上の会社においては必ず受ける必要があるため、クライアントは主に大企業となります。
独占業務である会計監査はもちろん、会計の専門家としてコンサルティング業務を行ったり、企業の経理で活躍をする方も多いです。
医者や弁護士のドラマはたくさんあるものの、公認会計士のドラマってあまり見ないですよね。
公認会計士自体を取り上げている番組としてはNHKの「監査法人」というドラマがありますが、
どうしても経済方面のドラマになってしまうことから、本数は全然少ないです。
最近では日テレの「獣になれない私たち」で、相手役の松田龍平さんが公認会計士役として出ていましたね。
1.2 税理士:税務
税理士の独占業務はもちろん「税務」です。
税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。
税理士は「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」等を行うことができます。 すなわち、会社や個人の代わりに税務書類を作成して申告を行うこと、税務に関する相談を受けることが税理士の本業です。
税務知識が豊富な方でない場合、自分で税務書類を作成し、税務署に申告するのは難しいですね。そのため税金の相談を受け、税理士が本人の代わりに申告書を作るのです。税務署からの問い合わせにも本人に代わって答えますが、ここが税理士としての腕の見せ所だったりします。
税務に関する申告は個人・法人問わず多くの人が行うため、クライアントは大企業から中小企業・個人事業主まで様々です。
多くの税理士は税理士事務所に勤めますが、税務に関する専門家としてコンサルティング業務を行ったり、企業の経理で活躍をする方もいます。
2. 公認会計士・税理士になるには?
経済界の最高峰資格である公認会計士・税理士。両者になるにはどのようにすれば良いのでしょうか。
2.1 公認会計士になろう
公認会計士になるためには、まず「公認会計士試験」に合格する必要があります。その後実務経験や修了考査等を経て、公認会計士登録を行います。
公認会計士試験は年齢・性別・学歴等一切関係なく、誰でも受験することができます。公認会計士試験の受験科目は以下の通りです。
選択科目:経営学、経済学、民法・統計学から1科目
試験はマークシート形式の短答式試験が1次試験としてあり、短答式試験に合格すると2次試験である論文式試験を受験することができます。
この論文式試験に合格すると、晴れて公認会計士試験合格となります。
短答式試験は年2回(12月・5月)、論文式試験は年1回(8月)に行われています。基本的には全試験科目を一括で受験し、一括で合格をしなければならないため、非常に広範囲を一度に学ぶ必要のある試験と言えるでしょう。
公認会計士試験に合格した後は、以下の3要件を全て満たした段階で「公認会計士」として名乗ることができるようになります。
・一定期間(基本は3年)の実務補修を受ける
・修了考査の合格
2.2 税理士になろう
税理士になるためには、「税理士試験」に合格することと、2年間実務経験が必要です。
税理士試験は受けるための受験資格要件があり、以下のいずれか1つを満たした段階で受験することができます。
・大学3年次以上で、法律学及び経済学に属する科目を一定数取得した者
・司法試験合格者
・公認会計士試験短答式試験合格者
・日本商工会議所主催簿記検定試験1級合格者
王道は経済学関連科目履修ですが、税理士試験の簿記論を受ける過程で日商簿記検定1級を取得し、受験要件に充てる方もいます。
肝心の税理士試験ですが、以下の全11科目の中から5科目を選択し、5科目全て合格した段階で税理士試験合格となります。
選択必修科目:所得税法、法人税法(1科目以上必修)
選択科目:相続税法、消費税法、事業税、国税徴収法、酒税法、住民税、固定資産税(消費税法・酒税法と住民税・事業税はどちらか1科目のみ選択可)
税理士試験は年1回開催され、科目ごとに合格不合格が判定されます。そのため1年で1科目ずつ極めていく方もいれば、1年で複数科目を受験する方もいます。
また、弁護士または公認会計士の資格を持っている場合は、税理士登録を行うことができます。


3.キャリアパス・年収は?
3.1 公認会計士のキャリアパス
多くの公認会計士試験合格者は、まず監査法人に入り会計監査・内部統制監査の経験を積みます。その中で、企業会計や税務・内部監査・コーポレートガバナンスなどの知識を身に着けていきます。
公認会計士の資格を手に入れ現場主査(監査法人によって呼び方は異なります)になり始める4,5年ほどで、監査法人に残るか転職市場に出ていくかを考える方は多いです。
監査法人に残る場合は、スタッフから現場主査等を経て、マネージャー/シニアマネージャーといった管理職、パートナーという監査報告書に署名をする監査責任者に上がっていきます。
監査法人の初任給は残業代込で600万円程から始まり、マネージャーあたりで1,000万円の大台に乗ってくるイメージです。
転職する場合は個々人の考え方によって千差万別です。会計のスキルを活かして企業の経理部門に行く場合、FAS・M&A・企業再生などのアドバイザリー関連分野でコンサルティングを行う場合、数字の知見を活かして経営企画に行く場合、ベンチャー企業の財務責任者になる場合、会計事務所で税務をする場合、自分で会計事務所を立ち上げて独立する場合と、たくさんの選択肢があります。
その場合、行く道によって年収も様々です。監査法人より上がる場合もあれば、様々な経験を積むこと、ワークライフバランスを重視すること等の理由から年収を下げてでも転職する場合もあります。
3.2 税理士のキャリアパス
税理士の場合は会計事務所に勤務しながら毎年税理士試験の科目合格を目指す方が多いです。5科目中1~3科目程合格すると会計事務所の採用ハードルが下がり、入所がしやすくなります。
主に税理士法人や会計事務所で企業の記帳や決算業務・申告書作成を行います。3,4科目合格し税理士になるまであと1,3科目となると、それまでの実務経験と照らして自分の専門分野を本格的に考え始めます。
肝心の年収ですが、中堅規模の会計事務所で500~600万円が多いです。科目合格の間はそれより低いことが多いものの、大手税理士法人や比較的好調な会計事務所であれば監査法人より収入が良くなることもあります。
税理士試験に合格した後は、会計事務所に引き続き勤め続ける場合や独立して事務所を構える場合、一般企業に行って税金専門部隊に入る場合がありますが、自らの専門分野に応じてその後の進路は大分変わってきます。
例えば国際税務の分野だと、Big4と呼ばれる大規模税理士法人か、国際税務が必要不可欠となるグローバル大企業への就職が一般的となります。
4.終わりに
もし受験生の方であれば、どちらを目指すか悩んでいる方も多いと思います。
一見似ている分野である会計と税務ですが、基礎となる考え方は大分異なります。その結果上記のように、業務内容から試験方式・キャリアパスまで大分異なってきます。
是非自分に合った資格を選んで、合格に向けて突き進んでください!