

1.法人税等の中間納付
1.1 中間納付とは
まずは問題を見てみましょう。
会社は年1回決算を行い、売上や原価を確定させて当期純利益を出します。
確定した当期純利益を基礎として税額を計算するのが「確定申告」です。


一方、一定の会社は年1回納付ではなく、年度の途中で中間納付を行う必要があります。
一度に大きな金額を払うのではなく、年2回支払にすることで現金が一気に減ることがないようにするのが中間納付です。

そのため、会社は年の半分のタイミングで中間納付をする必要があります。設問では中間納付10,000円を税務署に先んじて納付していますね。
1.2 中間納付の仕訳
設例の仕訳を考えてみましょう。
右側(貸方)
まず、小切手を振り出して納付しているため、右側(貸方)は「当座預金」ですね。
左側(借方)
ここでよくある間違いが、実際に納付しているので費用項目を左側に持ってくることです。
法人税等は「法人税・住民税及び事業税」(又は「法人税等」)という費用科目になりますが、中間納付時は費用の計上はありません。
あくまで仮で納付しているので、費用ではなく、正解は「仮払法人税等」(資産)という勘定科目になります。
法人税の仮払をしているので、法人税が確定した際にはもちろん仮払分を除いた金額を支払うことになりますね。


【解答】

中間申告には①予定申告と②仮決算による中間申告の2つの方法があります。
【予定申告】
予定申告による場合は、前事業年度の法人税の2分の1の額が法人税額となります。
【仮決算による中間申告】
仮決算による申告方法では、一旦事業年度開始の日以後6か月の期間を1事業年度とみなして法人税額を計算します。6か月分の決算をして、税額を一旦出すのです。
どう見ても仮決算のほうが大変ですよね。そのため両者の納税額を比較して、そこまで大きな差はないと予想される場合には予定申告が採用されます。一方、前期と比べて当期の業績が大幅に下がっているなど、仮決算による中間申告の方が納税額を引き下げられる場合には、会社の資金を有効活用する観点から、仮決算による中間申告が選ばれるのです。
2. 法人税等の確定申告
先ほどの中間納付を経て、決算の時期がやってきました。
A社は決算を行い、納税額を確定させます。
左側(借方)
確定した納税額が23,000円ということは、当期の税金費用が23,000円に確定したということです。
そのため先程使うことができなかった「法人税・住民税及び事業税」(又は「法人税等」)という費用科目を使いましょう。
右側(貸方)
期中に仮払した中間納付分がありますので、まずは中間納付分を使います。そのため「仮払法人税等」10,000を持ってきます。(資産の減少)
残額は13,000円ですね。この13,000円が今回の確定申告で納付する金額です。
ただ、すぐに納付する訳ではありませんので、一旦「未払法人税等」(負債)を計上します。
未払の法人税は将来現金を支払う義務なので、「負債」となります。
【解答】


3. 法人税等の確定納付
最後の問題です。後は実際に納付するだけです!
左側(借方)
未払法人税等を支払ったので、未払法人税等(負債)の減少を左側に書きます。
右側(貸方)
小切手を振り出したので、当座預金(資産)の減少を右側に書きます。
【解答】
まとめると、下図のようになります。

