



簿記2級では2016年から2018年にかけて試験範囲の改定が行われ、連結会計が範囲として追加されています。
連結会計とは親会社(支配している会社)と、子会社(支配されている会社)全体を1つのグループとしてみた経営成績・財政状態を把握するための財務諸表を作る会計処理になります。
例えばニュースで「SONYの売上高は~、TOYOTAの営業利益は~」とよく出てきますが、この売上高・営業利益は連結会計を行った連結グループ全体の金額となります。
ここでは、簿記2級で出題される連結会計処理について見ていきましょう!
1.連結財務諸表って何?
ある企業(親会社P社)が他の企業(子会社S社)を買収した際、P社はS社に対して非常に重要な影響力を持ちます。S社の大株主として経営の基本的事項を決定することができるようになり、取締役選任から日々の業務にまで影響力を有することとなります。このように「別の会社」であるものの、「意思決定において実質的に支配している」ときに、連結財務諸表が必要となるのです。経営の基本的事項を決定することができるため、グループ全体としてもうけ(経営成績)、財産(財政状態)がどうなっているのかを把握する必要があるからです。



問題集等ではよく親会社がP社、子会社がS社として出てきます。これは、親会社・子会社を英語にして頭文字を取った表記です。
P社:Parent Company(英語で親会社の意味)
S社:Subsidiary Company(英語で子会社の意味)
2.連結財務諸表の作り方
連結財務諸表は「①単純合算」「②連結仕訳」の2つで作成されます。
親会社・子会社は別の会社なので、各会社毎に個別財務諸表を作っています。そのため、まずは親会社・子会社の財務諸表を単純に合算します。
その後グループ全体であたかも1つの企業のようにするべく、連結仕訳を投入します。「連結会計」は、この連結仕訳を中心に学んでいくこととなります。
3.子会社を新たに作った際の仕訳
ねこ株式会社(P社)が、キャットフード株式会社(S社)という子会社を新たに立ち上げました。ねこ株式会社は親会社として、キャットフード株式会社に5,000円を渡し、対価として株式を受領しました。このとき、各会社では以下の仕訳を書いています。
■ねこ株式会社(P社:親会社)
■キャットフード株式会社(S社:子会社)
親会社であるねこ株式会社は現金を渡し株式を受領しています。一方、子会社のキャットフード株式会社は受け取った現金を対価として自社株(すなわち、資本金)を発行し、ねこ株式会社に渡しています。
ここで、ねこ社グループ全体で考えていきましょう。ねこ社グループとしては、単にグループ内で現金が移動しただけであり、グループ以外の人から見ると何も起こっていません。札幌支店から東京支店に現金を移動したことと、何も変わらないのです。すなわち、グループ全体で見ると各社の仕訳は「不要」な仕訳となります。そこで、全ての仕訳を消してあげます。
「①単純合算」によって仕訳が合算されるため、ねこ社の右側(貸方)の「現金」と、キャットフード社の左側(借方)の「現金」は綺麗になくなりますね。一方、「株式」と「資本金」は残ったままとなるので、「株式」「資本金」を消すために、上記の反対仕訳を書きます。
これが「連結仕訳」となります。本仕訳は投資(株式)と資本を相殺消去する「資本連結」といいます。
4.子会社となった日(支配獲得した日)の仕訳










